沈丁花

水紋のひとつひとつに水馬(みずすまし)
夢にのみ見へし小川の水馬
みどりなる茶淹れてより弥生の夜
みちのくの山懐の花まつり
みちのくの国見の山の花まつり
アンテナは蜻蛉（あきつ）となりて飛びにけり
わらべ絵の電車空飛ぶ弥生かな
わらべ絵のパンダ空飛ぶ春の虹
わらべ絵の熊の空飛ぶ春の星
母を看し朝の煮凝りうるはしき
梅林の一人また消へ雪催ひ
山笑ふ団扇太鼓の木霊して
八重桜一片降りし苺籠
咲き満ちし桜の苑に書を開く
雛あられ買ふは吾妹の為ならむ
春鴎しばらく遊び沖の雲
畑打ちてしばらく仰ぐ筑波の嶺
猫の子の声何処からか梅の苑
鶏ののどかに歩む春休み
煮凝りや母を看たれば胸痛み
紫陽花の稚葉一枚増へし朝
沈丁花母は危篤を乗り越へて
花の雨母は日ごとに痩せてゆき
句会終ふその夜沈丁夢のなか
句会の夜沈丁の夢はてしなき
母を看し白木蓮の夜の疲れ
紫陽花の稚葉の夜の碧さかな
山桜うらうら哀し いくさの火
木蓮や涙し弾きぬ鎮魂歌
妻のため苺を買ふはみどりの夜
紫陽花の稚葉の夜の碧さかな
木蓮や涙し弾きぬ鎮魂歌
立春の大き鳶の輪彦根城
立春の鳶笛哀し戦の火
曳き汐に引かれ去りにし花筏

幼な子のま幸きくあらば苺食む今日安房の国ひかり満ちけり


吟遊詩人　ときお　俳名　麦秋　の好きな言葉
日本国民は武力による威嚇又は武力の行使は国際紛争解決の手段として永久にこれを放棄する。（日本国憲法第2章より）

幸いなるかな　悲しむ者、その人は慰められん。　　　　マタイ福音書5
幸いなるかな、憐れみある者、その人は憐れみを得ん。

Blessed are those who mourn， for they shall be comforted. Mat5
Blessed are the merciful，for they shall obtain mercy.