渚に拾ふ桜貝

2003年4月22日
白南風(しろはえ)や
渚に拾ふ
桜貝
海の煌めき
君に届けむ

月光の
光の雫
はらはらと
蝶のごとくに
芥子に降りけり

あやかにも薄もも色の薔薇を選る
だだ一矢春の恋句を放ちけり
真砂女逝くしがらみを捨て恋に生き
初恋は遙けき想ひレタス噛む
すかんぽを噛みつつ歩む長堤
高塀をすらりと歩む恋の猫
草笛を遙かな友に奏でけり
耳朶熱く想ひを告げる落花の夜
恋猫の声のみ聞こへ春銀河
投函の絵手紙軽し花吹雪
片思ひ遂に告げずに卒業す
つばくらめ歩行器の子の一周り
この子まだ襁褓取れずに合歓ねむる
あえかなるこの紅薔薇は君のため 
薔薇採りて小指に刺さる棘ひとつ
その恋は人を傷つけ薔薇の刺
花曇蚕のごとくサラダ食む
木の芽雨吾妹言ふこと皆然り
図書司書の一人暮らしや桃の花
一粒の雨が少女の頬伝ひやがて涙と溶け合ひて落つ
山かひの藤に誘われ朝歩き
恋ひたれば森羅万象春の雷
神を恋ひ人を恋ふべし木の芽風
紫陽花の芽の膨らみて恙なき
車椅子降り踏青の第一歩
牛の仔の歩み初めたり花吹雪
水芭蕉自分を捜すため歩く
引く鳥を追ひて埴輪の丘歩む
春日傘差してえくぼの頬隠す
翠なる新茶のことを夕日記
絵手紙に止どめむとする芥子の紅
遠富士や歩道に芥子の数多咲き
合歓の花乳首の求めて泣く子かな
レタス食み数多の詩を紡ぎたし
図書司書に縁談ひとつ桃の花
図書司書に縁談ひとつ豆の花
職退きてより軽き靴啄木忌
春菊を茹でて全き蒼き宵
青麦や故郷の川ひとつ消へ
草萌の風ふところに太極拳
春の田にさざ波光り合歓の花

コメント

お気に入り日記の更新

日記内を検索