立ち葵

2003年6月22日
短歌コーナー
遙かなる南の空より帰り来しつばくら巣作り始めたりけり
空港の動く歩道の真直ぐに虹に誘なふ道にありしか
緑陰に憩へるひとり目しひ人顔を動かし鳥を探せる
偽りの愛の告白知りてさへ吾の心は変はりはせぬと
青墨の一点落つはそは蟻か絵手紙下手で良しと師は宣ふ
従兄弟住む山頂の家いま杉の香に囀り満ちる
戦争の経験無しに称へける平和の重さ知るや知らぬや
子育てに過ち大き悔いあれば我が子のことは何も語らず

俳句コーナー
緑陰に弁当開けば鳥の声
緑陰にトマトかじれば鳥遊ぶ
緑陰に散髪せらる宣教師
蒲公英の絮の旅立つ日曜日
枇杷啜りふるさと想ふ翠の夜
炎昼を働く蟻よ休まれよ
金魚売り変はること無き越訛りを
翠の夜ふらこらよりの声聞こゆ
夏汐の香りしたたる温泉場
万葉集曝す言霊残すため
黙々と蟻の小径の混雑し
緑陰に憩ふはトマト食べるため
新樹光眉毛の白さ気に掛かる 
立ち葵描けば崩るたちまちに
名人に捌いて貰ふ初鰹
啄木忌かつての句集謄写版
神体の御鏡光り夏来る
大河詠む校歌届きし紫雲英の野
新樹光夢二展へと行く予定
白日傘傾け聞くは歌時計
日傘さし来たらぬバスを待ちいたり
囀りに包囲されける美術館
美術館出れば噴水いま騰る
何故言ふか海豚泳ぎをバタフライ
火の山の裾野一望豆の花
神馬いま木馬となりて新樹光
新樹光カードで買ふは何々ぞ
青嵐もうあくせくはせぬと決め
青あらし閂ふとき大手門
初夏やギター教師の薄化粧
花さつきふとま見えしは眼科女医
鯉のぼり遙かな丘に城甍
遠足の園児手つなぐ五人づつ
階段のひとつひとつに藤の屑

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