国際コーナー
閑かさや岩にしみ入る蝉の声 芭蕉
In the hush profound,
Into the very rocks in seeps
The cicada sound Basyo
(Translated by Dorothy Britton)

短歌コーナー
夏今はサンダルが良し自転車に乗り風を切る音
ひしみける本棚より引き出しぬプラトン一冊棚に返すをためらふ
水滴の円球載せしクローバの葉を数多踏み太極拳
靖国の妻とは哀し呼び名なり軍備持たぬと昔誓ひぬ
作りてはすぐに壊れる義歯作る歯科医の窓に菖蒲が見えて
部屋代のかなり高価な病室のシーツ交換患者に命ず
矢車草育て退職なせし人今穏やな面影をなす
無縁佛と僧決めたれば墓こぼつ骨に命は無きと思へど

俳句コーナー
朝まだきクローバ踏みて太極拳
太極拳舞へば萌草朝湿り
囀りの小鳥を友に太極拳
山梔子の揺れて飛び立つ雀かな
ラベンダー野は蜂蜜の羽音のみ
ラベンダに湖の風柔らかに
プチトマト実のりし川辺肌寒し
鬼灯の夢のいきさつ昨日今日
鬼灯や浅き夢より覚めて夢
吾が友は香水付けず軽井沢
花菖蒲池には蝌蚪の渦のあり
鈴なりの鬼灯買ひて夢楽し
花南瓜今朝の川風やや冷えて
大方は留守の交番棕櫚の花
四阿に研ぎ師来ている梅雨晴間
つつと寄りまため離るる水すまし
恵林寺は桃の香りに包まれて
甲斐盆地いま桃の実に袋掛け
アカシヤの雨に包まれ鎖塚
自転車に乗るに裸足サンダルまこと良し
てんと虫迷い込みたる弥撒の朝
稚魚放つ石狩川に花菖蒲
桃を売る風林火山の旗を立て
柿落花その幾つかは井戸に入る
目印は木槿の垣と教えられ
文字摺草師は歌人とて聞きにけり
父の日は季寄せにあれど影薄き
萩蕾む恵林寺の庭ささめ雨
父の日の父の記憶はきりぎりす
卯の花に紙飛行機の不時着す
新茶飲む深夜哀しき夢を見て
終戦忌昭和憂きこと数多にて
終戦忌身内帰らぬ傷みまた
終戦忌遂に帰らぬ身内あり
終戦忌戦死の場所の知らされず
終戦忌遺骨と言ふも海の砂
赤城より忠治来さうな青嵐
ふるさとは小町の里や白木槿
渡し舟乗り場に菖蒲いま盛り
瀧飛沫山吹の花揺るるまで
新緑の信玄不動太き眉
山峡の新緑の底仙山線
恵林寺は早や蝉の声蝉の声
荒梅雨に溺れて入る喫茶店
うすものを着てまぎれなき乳の若さ
青梅雨や古書店に入りジャズを聞く
書肆巡りして学生街栗の花
Tシャツを着て怖ろしき胸乳かな
青梅雨の途切れし午後の引越しかな
昼寝覚め皆新しく見ゆ不思議
帰るべき故郷遠く白木槿
故郷に見ぬ人ばかり合歓の花

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