江戸風鈴高層のベランダに硝子音
風の道ここかと思ひ夏座敷
水すまし池に浮かびし雲なき空ひとつ
夏休み宿題きらい遊び好き
妻のしわ少し和らぎ百合の花
妻の眉少し和らぎ合歓の花
渓流のせせらぎ騒ぎ遠青嶺
紅花や父の笑顔に髭濃くて
甲斐盆地桃の実りて雨もよひ
甲斐盆地桃の香いっぱい雨もよひ
昼顔のバス停で妻待ちており
水泳帽忘れプールに電話せし
金魚玉買ふは子供と遊ぶため
走り梅雨妻は寿司屋傘忘れ
夢二展出たれば街は走り梅雨
魂のごと薄翅蜉蝣みどりの夜
梅雨の夜にまたも訃報の電話あり
たっぷりとトマトを食みて幸せに
絵手紙のトマトはみだすみどりの夜
緋鯉ほど大きくなりし金魚かな
われはまた蝸牛(かたつむり)みて憩ひけり
夏痩せの乙女と見へし夢二の絵
泳ぎてはやがて人魚となる乙女

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