短歌コーナ
酸漿を鳴らして少女頬豊か宵の祭の果てにけるかな
捻花の一輪挿せし夕べには故郷の母に遠電話する
悲しとは哀しとも愛しともやまと言葉の歌のいとほし
老いといふ哀しき言葉ありにけり今も忘れじ少年の夢
魂の炎集まり焼き尽くすいくさの時代夢かまぼろし
その国の文に貼りたる切手には若き女王の面影いつも
宣戦の無き戦悪しと言ひし国またもや他国占領したれり

俳句コーナー
哀れにも目しひ秋霖籠もりかな
秋涼し茶碗に注ぐ翠の茶
ラベンダー一輪摘むも秋思ひ
盆の供花如何にせむとて深思ひ
新秋刀魚買ひに走るも霖雨かな
新秋刀魚買ふべく走るささめ雨
秋霖や独りオセロの亦負けて
紅花や芭蕉読みゐる壺碑かな
芋嵐瀧壷深く不動尊
新秋刀魚とて価格は問はざりし
喪に服し精進潔斎冷奴
喪に服し精進潔斎夏料理
紅花の茂吉の国の夕日かな
郭公や屯田屋敷大夕日
廃校の木柵朽ちて日輪草
盆僧葬り短かに去りにけり
盆僧のあまりに早き読経かな
はまなすの岬に怒濤立ちにけり
湧泉の奏でる音も秋さやか
サングラス脱して読むは啄木集
浄瑠璃の恋は哀しき星祭
古書店の間口一間秋霖雨
息留めて暫し見つめし油虫
幼なごの夕の電話も素秋かな
静かにもごきぶり捕らふ手際かな
その戦史大方嘘で終戦日
赤ん坊の言葉また増へ日々草
この百年あまた戦や百日紅
古書店に吹きこむ風も素秋かな

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