原爆忌氷食むことさへ辛く

吾が妻はモネよりピカソ好きと言ふその面影はピカソの絵かも
モネの絵の光りさざめく水辺には睡蓮開く音こそしたり
避暑の地の林の中の美術館ピカソの壺の静かにも眠る

素秋ただ作務衣姿のゆふべかな
今朝の秋少し汗ばみ太極拳
茴香の花を活けたる朝さやか
原爆忌氷食むことさへ辛く
掻き氷日曜学校昼休み
日曜日パートタイマー氷菓嘗め
タイマーの壊れて自炊鰯雲
背泳の目にも眩しき鰯雲
背泳の吾に戯る赤とんぼ
暮早き牧場を覆ふ赤蜻蛉
低く飛びとなめ嬉しき赤蜻蛉
猫抱けば乳房のあたり汗ばみて
転入生少し恥じらひ日焼け顔
よろこびは池に見つけし螢の火　
不動尊小さき瀧に打たれをり　
恋の径しばしば迷ひ秋の蝶
コスモスや玩具の汽車はけむ吐かず
秋さやか灯りを落とし太極拳
キャンプの夕少し辛めのカレーかな
夕焼け小焼け戦火に逝きし吾が友よ
黒南風や浜に残りし赤海星（ひとで）
入れ墨の老人泳ぐ秋の雲
白粉花色とりどりに描きけり
手花火の青き光を放射せり
油虫捕らえる事を余技とせし

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