秋の名吟特集
しみじみと日を吸う柿の静かな 前田普羅
柿色 の日本の日暮柿食へば 加藤秋邨
秋風に傷なきものはなかりけり 橘高薫風
たましひも柘榴もひとつとかぞへけり 岩淵喜代子
眼鏡はづして病む十月の風の中 森澄雄
木の実くふ我が前の世は猿か鳥か 正岡子規
栗落ちて一ツ一ツに夜の更る 小林一茶
十月の雨の匂いがして受胎 対馬康子
合す掌のほか冷まじき千手かな 鷹羽狩行
湯の名残今宵は肌の寒からむ 松尾芭蕉
花であることを哀しみ実となりしか 中里麦外
やや寒し蝶が羅漢の目をふさぐ    本田ひとみ
天高しピザの斜塔とさざえ堂    成瀬櫻桃子
うつくしやせうじの穴の天の川  小林一茶
名月を取ってくれろと泣く子かな 小林一茶
露の世は露の世さりながら 小林一茶
柘榴の天割れて風なき風の国    林桂
頂上や殊に野菊の吹かれ居り    原石鼎
祝宴のまづほろにがき菊膾    中嶋秀子
籾干して天平よりの旧家かな    橋本多佳子
胡桃割る十をさびしき数として    大石悦子
冷まじや夕闇といふしめくくり 手塚美佐
秋風や唐紅の咽喉仏     夏目漱石

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